オーロラの歌



能力が想像以上の働きをしているせいか、身体を蝕む痛みが激しくなっていく。


喉が苦しくなって、心臓が軋んで。


それでも、笑顔を絶やさずに歌った。



「う、っ」



突然、イービルが呻きだした。


イービルの中から、巨大な真っ黒い霊気が弾き出されようとしている。



頭が、胸が、身体が、神経が、感覚が。


鈍く、強く、不安定にぐらつき始める。


機能が停止されようとしているそれらを、できる限り繋ぎとめた。




「♪~~世界で一番大好きだから 流れ星に祈らなくても~~♪」




特別な歌を、特別な想いで紡ごう。


あなたの心に、永遠に在り続けるように。


私達の運命に、幸福が訪れるように。



光が霊気を聖なるエネルギーに変換させた、その瞬間。


――フッ、とイービルの意識が失われた。



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