オーロラの歌
イービルは、いつになく自信なさげに俯いた。
「もしかして、闇と光の狭間で迷ってるの?」
「そ、そんなわけないじゃない!」
イービルの否定の仕方がぎこちなくて、すぐに本音を見破ってしまった。
戸惑っているのなら、あたしが背中を押してあげるよ。
「……辛かったよね」
「唐突になに?」
「あたしだったら耐えられないな」
同情されていると勘違いしたイービルが、あたしから顔を背ける。
あたしが前世の自分に同情するとか、寂しすぎるからやんないよ。
これは、同情じゃない。
「妹に追い越されるのも、親や周りの人達から愛されなくなるのも、辛いに決まってるよ」
お前なんか必要ないって、言われてる気になっちゃうんだよね。
あたしの中にあるイービルの過去の記憶を思い出しただけで、胸がズキズキ痛み出す。
イービルの孤独は、あたしが一番わかるよ。