オーロラの歌
独りきりの時間は、とても悲しくて冷たい。
何年も味わった辛さは、いつしか、冗談にならないほどの殺意になっていた。
「だから、女王の立場になって国民に愛されたかったんでしょう?」
黒い感情を補いたくて。
虚しさを失くしたくて。
イービルは、王の座にしがみついてしまった。
「イービルは、オーロラに全てを暴かれ、女王の立場から引きずり下ろされ、また孤独になるのが怖かったんだよね」
「ち、違うわ!」
「ううん、違わないよ。怖かったから、女王の肩書きを放棄して、転生してきたんだ」
世界の全てが敵になり、妹の娘に夢も玉座も奪われる前に。
自ら大切なものを捨てて、パラレルワールドに逃げてきた。
自分にないものを持っているアンジェラスへの妬みと、プライドを壊して何もかもをかっさらおうとするオーロラへの復讐心を、連れて。
「でもさ、よかったね」
恐る恐るあたしに視線を移すイービルに、あたしは笑顔を向けた。