オーロラの歌




「アンジェラスは、イービルを愛していた。これってつまり、独りじゃなかったってことでしょう?」



イービルはただ、愛し方も愛され方も忘れてしまっただけ。


あたし、知ってるよ。


イービルが本当は後悔していること。



「もう認めちゃいなよ。このゲームは、イービルの完敗だって」



闇に誘われて、光を葬っての繰り返しは、疲れたよね。


執着するのは、やめにしようよ。


ゲームセットで、いいんじゃないかな。



「あたしの、負け……?」


「そうだよ。歌の歌詞、ちゃんと聴いた?」


「え、あ、も、もちろん聴いたわ」



いきなり話題が変わったと思ったイービルは、間抜けな返答をした。


すごく素敵な歌だったなぁ。


“君のそばにいさせて”とか、“世界で一番好き”とか。


アンジェラスの愛で、溢れてる。



「歌から、『イービルを愛してるよ』って想いが伝わってきたでしょ?」


「伝わってきたわ」


「どうだった?」


「なぜか、泣きたくなったの」




< 849 / 888 >

この作品をシェア

pagetop