オーロラの歌
頭では理由がわかっていないようだけど、心では気づいている。
だって、今、イービルは嬉しそうに笑っているから。
「ここが、温かくならなかった?」
「……なったわ」
あたしがイービルの心臓を指で示したら、イービルは素直に頷いた。
「それが、幸せって気持ちだよ」
幸せを感じたのなら、それはオーロラがイービルを救ってくれた証。
ゲームはイービルのボロ負けだけれど、バッドエンドではない。
「イービル、答えは出た?」
そう問いかけたあたしに、イービルは頬を赤くして泣いた。
その涙が、答えなんだね。
「ほら、行きなよ」
ねぇ、闇とさよならしよう。
ためらわないで、振り返らないで。
「アンジェラスが待ってるよ」
イービルの姿が、花びらのような光に変わって、この世界全体を白く染め上げていく。