オーロラの歌
光が満ちた瞬間に
【怜司side】
イービルが、気を失った。
おそらく、さっきイービルが契約したと思われる悪霊が、光のエネルギーに化したのが原因だろう。
江藤先輩はすぐに魔法を消して、久賀がイービルを支えた。
「唯夏ちゃん、唯夏ちゃん!」
久賀は変身を解き、何度もイービルの現世の名前を呼ぶ。
屋上のどこからも、邪気を感じなくなった。
イービルの闇を無事に払えた、そう解釈していいのだろうか。
「♪~~どうか神様お願いです 輝きを纏う幸せを君へ~~♪」
イービルが失神してもなお、琉美は歌い続けていた。
優しくて、切なくて、丁寧で、清らかで。
そんな琉美の歌声がいつしか屋上を星空のように輝かせていて、わからなかった。
琉美の顔色が、歌う度に悪くなっていっていることに。