オーロラの歌
ここを埋め尽くしていた光が、一つまた一つ、音も立てずに枯れていく。
「……もしかして、」
「六沢、何か気づいたのか!?」
小さく呟いた六沢先輩に、江藤先輩が食い気味に尋ねた。
六沢先輩は一度口を閉ざした。
短い沈黙だったはずなのに、数時間のように感じた。
「もしかして……いや、もしかしなくても」
沈黙を破った、六沢先輩の第一声に、俺は耳を澄ませた。
「琉美の寿命は、最初から他人より短かったんだ」
「詳しく、教えてください」
俺が補足説明を求めると、六沢先輩は顔をしかめた。
無意識に呼吸が浅くなり、鼓動のリズムが速くなっていく。
「琉美は、幼い頃から体が弱くて、ずっと“普通”になりたがっていたんだ」
体が弱かった?
そんなこと、一度も聞いたことがない。
琉美はオーロラと同じように、秘密を抱えていたのか?
刹那、はっとした。
以前、琉美が言った言葉を思い出す。
『私、前までずっと周りに頼りきりな生活をしてたんだ。だから、今度は頼られる存在になりたいの』
あの言葉には、琉美の過去が隠されていたんだ。