オーロラの歌
夕日に照らされた、黒い髪。
やっぱり、あなただったんですね。
「――ゼロさん」
ベンチのすぐ後ろまで来た私が名前を呼ぶと、私を待っていたゼロさんは湖を見つめ続けたまま、自分の隣をぽんぽんと叩いた。
私は、ゼロさんとの間を空けて、ベンチに座った。
「どうして私を、ここに呼んだんですか?」
ゼロさんが、私に会いたかったってことでしょ?
その理由が、さっぱりわからない。
そりゃあ、私からしたら、会いに行こうとした人がわざわざ私を呼んでくれたのは、都合良かったけど。
「オーロラさんこそ、僕に用があったんじゃないんですか?」
なんでそのことを、知っているの?
私って、わかりやすい?顔に出てた?
図星を突かれて、目を泳がす。