オーロラの歌
私は昔から体が弱かった。
よく熱を出したり、めまいがしたり、吐いたり、体のどこかが痛くなったりして。
学校の行事にはあんまり参加できなくて。
軽い運動すら禁止されていた。
家の近くにある病院にも通っている。
せっちゃんと喧嘩した後も、具合が悪くなって病院に行った。
そしたら、入院することになっちゃって。
昨日やっと退院できたんだ。
入退院を繰り返して、寝たきりの生活をして。
そんな、“普通”とはかけ離れた日常が、嫌いだった。
ちょっと走ったら倒れちゃうような、弱い私を、家族はいつも心配してくれた。
お兄ちゃんなんて、過保護すぎて困っちゃうくらい、私を大事に思ってくれている。
気にかけてくれるのは嬉しいけど、周りに頼りきりになっていく毎日が、とても辛かった。
クラスの友達は、私が体調を崩すといけないと気遣って、遊びに誘ってはくれなくて。
先生は私に、他の子よりも優しく接してくれて。
明瞭な境界線を、引かれている気がした。
私ひとりだけが、別世界にいるようだった。