オーロラの歌




幼かった私が見つけた夢は、時を経ても、しぼまずに育っていった。


成長していくにつれ、体調が安定していき。


高校に上がって、ついに、私の一部となった夢を叶えられる日がやってきた。



毎日が楽しかった。


特別扱いされなくて、周りから頼られて。


親友と呼べる友達もできて。


私の存在意義を、教えてもらっているようだった。



運動することはまだ苦手なままだけど、まっさらな当然が新たに染み付いていって。


幼い自分が溶けていくように感じた。


このまま、平凡で平和な日常が続けばいいな。


そう、祈っていた。



しかし、私の祈りは神様には届かなかったらしい。



前世の記憶と能力を受け継いだあの日、私はまた“普通”ではなくなった。


支えられる立場に戻りたくない気持ちと、誰かを支えたい気持ちが、消えることはなかった。


むしろ気持ちは膨らんで、対極に位置する二つの気持ちの間隙で葛藤した。



仲間を、守りたかった。


幾度となく傷ついても、仲間の明日を喪失させたくなかった。



< 863 / 888 >

この作品をシェア

pagetop