オーロラの歌






――目覚めると、私は見知らぬ場所に立っていた。


ここ、どこだろう。


辺りを見渡しても、誰もいないし、何もない。


色のない、だだっ広い世界。


もしかして、ここが天国?


想像してたのと全然違うなぁ。



「私、本当に死んじゃったのかな……」



先程まで感じていた痛みは、嘘みたいになくなっている。


けど、変わったのはそれくらいで。


他は服装も、手を握る感触も、声質も、生きている時のまんま。


天国にいる実感が湧かない。


死んでしまったばかりだから、そう思うのかもしれない。



「琉美」



不意に、名前を呼ばれた。


誰?



「琉美」


「この声って……」




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