オーロラの歌



私のよりも高くて、可憐で、透明感溢れる声が、耳を通って、身体の奥にじんわりと響いてくる。


泣きたくなるのは、なぜだろう。



「琉美!」



導かれるように、振り返った。


先程まで誰もいなかった場所に、穏やかに微笑んでいるオーロラがいた。


オーロラの、エメラルドグリーンの髪が、ふわりと揺れる。


私は衝動に身を委ね、オーロラに抱きついた。



「オーロラ!」



これは、夢じゃない。


だって、確かに今、オーロラに触れている。


会いたかった。


会って、いろんなことを好きなだけ話したかった。



「琉美、ありがとう」



私が抱きしめる力を緩めると、オーロラは私の目の縁に溜まっている涙をそっと拭いてくれた。



「私の願いを叶えてくれて」



オーロラの小さな手のひらが、私の頬を包み込んだ。


< 866 / 888 >

この作品をシェア

pagetop