オーロラの歌



その動作で、私が助かる術に気づいてしまった。




「オーロラ、やめて!」


「♪~~コップいっぱいの涙と 架けられた虹が照らす~~♪」




私の言葉を裂いた、オーロラの歌。


やっぱり。


能力で、私の生命力を戻そうとしているんだ。


理屈では決して答えが出ない、いやしの歌の効能なら、寿命を元通りにすることもできるだろう。


でも、いやしの歌には能力者の命が必要不可欠。


永眠したオーロラは、能力を使えない。


……はず、なのに。


聞こえなかった心臓の音が、ざわめき始めている。




「♪~~甘さが欠けてる未来の 続きに溺れたとしても~~♪」




きっと、オーロラはいやしの歌に、自身の魂を捧げているんだ。


その証拠に、オーロラの身体が、透けていっている。



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