オーロラの歌




「ねぇ、琉美」



一適の涙が、静かにこぼれた。


それは、オーロラが落とした涙だった。



「私の分まで、生きて」


「オーロラ……っ」


「仲間と共に、愛する人と共に、幸せになって」



……そういえば。


オーロラと初めて会った夢の中でも、オーロラは今みたいに切なそうに微笑んでいた。



「そんな風に言われたら、頷くしかないじゃんか」



オーロラは、ずるい。


オーロラはいつだって、勇敢に覚悟を掲げていて。


私がオーロラの覚悟を拒めないのを知っていて、願いを贈るんだ。



「オーロラ、ありがとう」



私は涙をこらえながら、不格好な笑顔を向けた。


オーロラは一瞬一瞬を宝箱にしまうように、ゆっくりと瞬きをした。



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