オーロラの歌
その透明な雫をすくってあげた私に、江藤先輩が口元を綻ばせた。
「琉美ちゃんが生きてて、よかった……」
いつか、今日の出来事が思い出になったら。
皆に、話そう。
私を生き返らせてくれた、恩人のことを。
すると、私の手を握る怜司くんの握力が、強まった。
反射的に、怜司くんの方に顔を向ける。
怜司くんは、私の体温を確かめるように、さらに骨ばった手を力ませる。
「私は、ここにいるよ」
「っ、」
優しく、手を握り返した。
もしかして、ずっと手を握っていてくれたの?
「……ばかやろう」
威勢のない暴言を放った怜司くんが、愛おしかった。
大丈夫だよ。
もう、どこにも行ったりしないよ。