オーロラの歌
夕闇が迫ってきた頃。
「そろそろ帰ろっか」
私の言葉で、私達は屋上をあとにした。
それぞれ荷物を持って、階段を下りていく。
「唯夏ちゃん、部活はいいの?」
「はい、今日は休むって部長に言っておいたんです」
私の問いかけに、唯夏ちゃんが流暢に答えた。
そうだったんだ。
唯夏ちゃんが屋上に来た時に言った、『あたし、これから部活あるんだから、用があるなら早目に済ませてよね』という言葉も、イービルがついた嘘だったんだ。
あっさりと騙されちゃってたよ。
「あ、そうだ。あのね、皆………」
生徒玄関に着くまでの間、私は皆にハルシオンが無効になったことを、説明した。
もちろん、魔法や能力がこっちの世界で使えなくなったことも、前世の記憶の大部分が残留していることも。
江藤先輩が試しに呪文を唱えてみたが、
「うわ、本当だ」
やはり、魔法は使えなかった。