オーロラの歌



説明し終えると、ちょうど生徒玄関に到着した。


下駄箱で、靴を履き替えていたら。



「琉美、帰るぞ」


「へ?」



怜司くんからの唐突な誘いに、変な声が漏れる。



「お前の体が心配だから送ってく」


「それなら、せっちゃんが同じ方向だから……」


「ろっ、六沢は俺に用事があるんだったよなー?」



江藤先輩が、私の声にわざと割り込んで、せっちゃんに尋ねた。


え、そうなの?



「用事?そんなのな……」


「あ・る・よ・な!?」


「…………ある」



江藤先輩の迫力に、せっちゃんは呆れながら、仕方なさそうに肯定した。


せっちゃんが江藤先輩と帰るなら、必然的に私は一人になるわけで。


怜司くんの誘いを断る理由は、無くなる。


まあ、断りたいとは最初から思っていませんでしたけど。



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