オーロラの歌
怜司くんが、目で「どうすんの?」と訴えてきた。
どうするもこうするも、選択肢は一つしかない。
「じゃあ、一緒にか、える?」
「なんで疑問形なんだよ」
怜司くんはフッと噴き出して、そうつっこんだ。
「行くぞ、琉美」
「うんっ」
先に歩き出した怜司くんを、慌てて追いかける。
けれど、校舎を一歩出てすぐに足を止めた。
「皆!また明日ね」
振り向いて皆に大きく手を振ってから、怜司くんの元に駆け寄った。
私と怜司くんがいなくなった生徒玄関では、せっちゃんが江藤先輩を睨んでいた。
「おい、江藤。俺、お前に用なんてねぇんだけど」
「あはは、だよね。俺も心当たりない」
乾いた笑顔を顔に貼り付けた江藤先輩に、せっちゃんは大げさにため息を吐いた。