オーロラの歌



怜司くんが、目で「どうすんの?」と訴えてきた。


どうするもこうするも、選択肢は一つしかない。



「じゃあ、一緒にか、える?」


「なんで疑問形なんだよ」



怜司くんはフッと噴き出して、そうつっこんだ。



「行くぞ、琉美」


「うんっ」



先に歩き出した怜司くんを、慌てて追いかける。


けれど、校舎を一歩出てすぐに足を止めた。



「皆!また明日ね」



振り向いて皆に大きく手を振ってから、怜司くんの元に駆け寄った。



私と怜司くんがいなくなった生徒玄関では、せっちゃんが江藤先輩を睨んでいた。



「おい、江藤。俺、お前に用なんてねぇんだけど」


「あはは、だよね。俺も心当たりない」



乾いた笑顔を顔に貼り付けた江藤先輩に、せっちゃんは大げさにため息を吐いた。



< 883 / 888 >

この作品をシェア

pagetop