オーロラの歌
開いている窓から顔を出したのは、とある少年。
同い年……くらいだろうか。
どうして見知らぬ少年が、私の名前を知っているの?
「この森にオーロラがいるって噂は、本当だったらしいな。誰もこの森に入ろうとはしなかったけど、来てみて正解だったぜ」
ここは、神聖な森。
誰も、立ち入ろうとはしない。
そのことを承知で、少年はやって来た。
――私に、会いに。
「誰、なの……?」
左側だけ少し長い、藤紫色の髪型をした少年に、覚えはない。
太陽の光を上から浴び、少年の顔つきが陰る。
「俺の名前は、“ラジ”」
少年――ラジの、どこか苦しげな瞳の、その奥。
色褪せた光を、見つけた。