オーロラの歌



夕飯のシチューの香りが、立ち込める家の中。


オーロラは俺とグリンに、俺が犯人ではないと証明する方法について、詳しく説明してくれた。



「でも、それじゃあ、条件を満たすことにはならないぜ?」


「だから、これは最終手段ってこと。時間が許す限り、真犯人とお金を探そう!」


「りょーかい!」



暗闇で覆われた夜の世界の隅っこで、ヒソヒソと作戦会議。


俺達が掲げる思いは、きっと同じ。


明日、濃い霧に隠された真実を暴き、偽りで固められた思考を壊し、全てを晴らすために。



諦めずに、手探りで見つけよう。


信じる者と、信じたい者と、一緒に。




結局、真夜中まで探したが、真犯人と盗まれた一億テラスを、見つけることはできなかった。



「こうなったら、徹夜して探す!」



そんなことを言い出したオーロラを、やや強引に止めて、俺の家に連れ戻す。



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