純愛☆カルテット
「さっきの話ってどの話?」

「紅子が同時に二人と付き合ってた話。」

「ああ。」

修二が手をあげて店員さんを呼ぶ。

よくよく考えてみたら、個室席でもないのに友人の噂話をするのは軽薄だったかもしれない。

第一紅子に申し訳ない。

(そこまで親しいわけでもない浜安君に恋愛相談だの噂話だのして酒飲んでなにやってんだろ)

これ以上他人のプライバシーに関わることをダダ漏れにするわけにいかない。

「ねえ、この前の実験うまく行った?」

焼き鳥が運ばれてきたついでに、希和は無理やり話題を変えた。

「それこそ樋本さんがうまい具合に進めてくれたよ」

修二がモチベーコンにかぶりつく。

そういえば修二と紅子は出席番号が近いから実験班が同じだったなと、希和は思い出した。

「浜安君と紅子って実験班が同じだけど、その時はよくしゃべったりするの?」

どうしても、彼女の話になってしまう。

「必要最低限。なことだけ。」

と、修二。
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