純愛☆カルテット
二人で居酒屋を出た時は九時近くだった。
「もう八時半過ぎてるけど時間大丈夫?」
腕時計をちらっと見て修二が聞いてきた。
「あ、そろそろ出ようか。」
希和は残ったビールを飲み干した。
会計をすませ、店を出た後、修二はやけに真面目な顔をして言った。
「磯井さんはいわゆるタラシって軽蔑する?」
思いもよらない質問に一瞬面食らったが、
「程度によるよそんなの。まあ、自分がチャラチャラ口説かれたらキレるかもしれないけど。」
「そっか。」
「なんで?」
希和の問いかけに、修二はうーんとうなり、
「俺は、磯井さんを応援しますよ。」
と、何故か敬語でエールを送られた。
(変な人。)
ナチュラルな感想を抱き、修二とは店の前で別れた。
(なんかつかみどころないなぁ浜安君は)
他人を変人と評価できるほど希和も大した人間ではないけれど、それでも今日知った修二の性格は今までにあったことがないタイプだった。
(浜安君が紅子にアタックしたら紅子はなびくのかな)
くだらない事を考えながら、希和はもう一度修二のメールを見つめた。