純愛☆カルテット
紅子はいわゆる人好きのするタチなのか、初めて知り合った時から彼氏がいなかったことが無い。
現在は染井冬生(そめいふゆき)という経済学部に所属する痩せた青年と付き合っている。
冬生は同学年だが現役で入っているので歳は1つ下で、希和が所属する合気道部の同期でもある。
二人が付き合い始めたのは、今年の初夏、学祭でクラス模擬店の店番をしていた紅子と出会うという非常にありがちな理由だ。
「おれ、磯井さんと同じクラスの樋本さんと付き合うことになったわ」
学祭が終わってから三日後。部活動の練習終わりに、冬生は汗で額に髪を貼りつかせてついでかのように報告してきた。
「なんで」
思わずマヌケな質問をした。
「なんでって」
冬生のすっきりと整った顔がほころんだのを今でもはっきり覚えている。
「可愛いし、女子らしいし、好きだからだけど」
そう言って柔らかく微笑み、冬生は着替えに消えていった。
(私はあなたが好きなんだけど)
遠ざかっていく華奢な後ろ姿を見ながら、希和は状況を飲み込むのに苦労した。
現在は染井冬生(そめいふゆき)という経済学部に所属する痩せた青年と付き合っている。
冬生は同学年だが現役で入っているので歳は1つ下で、希和が所属する合気道部の同期でもある。
二人が付き合い始めたのは、今年の初夏、学祭でクラス模擬店の店番をしていた紅子と出会うという非常にありがちな理由だ。
「おれ、磯井さんと同じクラスの樋本さんと付き合うことになったわ」
学祭が終わってから三日後。部活動の練習終わりに、冬生は汗で額に髪を貼りつかせてついでかのように報告してきた。
「なんで」
思わずマヌケな質問をした。
「なんでって」
冬生のすっきりと整った顔がほころんだのを今でもはっきり覚えている。
「可愛いし、女子らしいし、好きだからだけど」
そう言って柔らかく微笑み、冬生は着替えに消えていった。
(私はあなたが好きなんだけど)
遠ざかっていく華奢な後ろ姿を見ながら、希和は状況を飲み込むのに苦労した。