新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―


「公介くんはまじめに勉強してるんですね」



「まあ、何だかんだ言って、父の影響ですよね。専門知識を活かした仕事に就けたらいいなと思います。


医者だけいても病気は治せないって、よく父が言ってるんです。薬を作るとか、検査方法を開発するとか、いろんな専門家がいなきゃ病気は治せないって」



「えらいなあ。私の大学時代なんて、何も考えてなかったのに。だいぶ昔の話だけど」



「昔って、大げさじゃないですか?」



「大げさじゃないですー。10年ひと昔って言うでしょ? 学部を卒業して、もうすぐ10年ですよ」



微妙に間があった。



「……えっ!? そんな年上なんですか!?」



上から下まで観察された。


けっこう紳士的な爽やか好青年とはいえ、やっぱ若いわ、この子。


色気も貫禄もなくて失礼いたしました。


体型も、ちっともグラマラスじゃないしね。


アメリカだったら、中学生にも負けるレベルですよ、どうせ。



「公介くんはアメリカ育ちでしょう?」



「ああ、はい、物心ついたらアメリカにいました。学校、中国人はいたけど日本人はほとんどいなくて……何ていうか、日本人の女の子って、年齢わかんないですね。アメリカ育ちの中国人とは、やっぱりちょっと違うんですよね」



微妙に話をすり替えられた。


日本人女性の一般論にされてしまった。


まあいいけど。


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