新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
「わざわざご用意してくださったんですか? ありがとうございます!」
「だいぶマニアックな部分もありますから、わからなければ、メールででもお尋ねください」
「はい! 読ませていただきますし、ご指導よろしくお願いします!」
パラパラとページをめくってみると、図や表やイラストが豊富だ。
注釈は全部英語だった。
これくらいは自分で辞書を引くことにしよう。
と、小石川先生の指が割り込んできて、1点のイラストの上に止まった。
重要なイラストなんだろう。
注釈の日本語訳が赤ペンで書き込んである。
「このイラストの模式図は、アメリカでもまさに今、整えている最中のサポート体制なんですよ。
先天性代謝異常症の患者さんを、どのようにして、生涯に渡ってサポートしていくか。遺伝性の病気ですから、患者さんが将来、子どもを産むときにもサポートは必要になるかもしれない。
そのサポート体制を今、僕たちが創り上げないといけないんです」
新生児マス・スクリーニングは、生後数日で急激な症状を呈する赤ちゃんを救うためだけの検査じゃない。
もっと長期的な視野で、患者さんである赤ちゃんやその家族に、治療やアドバイスを提供するのが目的だ。