新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
「そのとおりです。もっと言えば、僕が勤めるような拠点病院に先天性代謝異常症の情報、症例を集めて、それに対処できる専門家も集めて育成する。
育成された専門家は、必要とする病院があれば、出張して治療や診察に当たる。
現時点で重要な課題は、集めて共有するにはネットワークがつながっていなければならない、という点です」
地域の病院全体でつながって、先天性代謝異常症の患者さんのサポート体制が整っていれば、もし患者さんが自宅から離れた場所にいるときに症状が出て、目に付いた初診の病院に駆け込んだとしても、拠点病院に連絡を取ることで詳細なカルテが参照できる。
専門家の指示をあおぐこともできる。
国内全域で同じような病院ネットワークが確立して、地域の拠点病院を統括する全国規模の拠点病院が機能すれば、患者さんはもっと心強い。
国内旅行中に倒れて、見知らぬ土地の病院に担ぎ込まれても、地元で自分を診ている専門家が遠隔操作で治療に当たってくれるんだ。
「僕も実際に、ニューヨークの外れにある病院に指示を送ったりしますよ。
昔はポケベルでね、電話してくれというヘルプが入っていたんだけど、今は何でもある。日本にいてさえ、患者さんの顔を見ながら通話することができる。
うまくすれば、中継動画付きの通話を診察にも活かせるようになるかもしれません」