新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―


「日本には、まだこういうネットワークはないんですか?」



「ないとは言いませんよ。でも、そもそも新生児マス・スクリーニングというもの自体、あまり知られてないでしょう?


あなたの年齢だと、おそらく受けていないでしょうし、公介と同年代の子どもたちでも大半は受けていない。本当に、知られていないんですよ」



「じゃあ、患者さんのご家族、大変ですね。特殊ミルクは慈善事業に頼るしかないし、患者さんの体に安全な食品は保険が利かないし、万一のことを考えたら、主治医がいる病院から遠く離れられないでしょうし」



「サポート体制が整いさえすれば、先天性代謝異常症の患者さんも普通に生活できるのにね。


まあ、アメリカのやり方が進んでいるとか正しいとか、そう言うつもりはありませんよ。


日本は日本で、肌に合うやり方、得意なやり方があると思います。そうしたやり方を、いろんな人がアイディアを出して確立してくれたらいいんですよ」



日本人の得意なやり方って、何だろう?


たぶん、几帳面で緻密なネットワークやデータベースを作るのは、アメリカ人より得意だ。


専門家育成システムも、まじめにコツコツやっていけると思う。


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