新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
小石川先生は、さて、とベンチから立とうとした。
「で、まあ、新生児マス・スクリーニングについて、大枠としてはこんな感じですね。
何か言い忘れてることがあるかもしれませんが、まだ数日は日本にいますし、朝からお会いできるでしょう。そのときに付け加えますよ。
それから、僕のメールアドレスは、お渡しした資料にも載せてますから、何かあればお尋ねください」
「ありがとうございます。あのですね、小石川先生と公介くん、今日これから30分くらいお時間ありますか?」
小石川先生と公介くんが顔を見合わせた。
目と目で会話して、公介くんが口を開く。
「時間、ありますよ」
「じゃあ、ちょっと待っててもらえますか? おにぎりプラスアルファくらいの朝ごはんでよければ、家に用意してあるので、ひとっ走り取ってきますから」
「うわぁ、いいんですか! いただきます!」
「これはありがたい。ご馳走になります」
速攻で目を輝かせてくれた公介くんと、ダンディな笑顔の小石川先生。
私は資料を抱えて家までダッシュして、代わりに朝ごはんを抱えてベンチまでダッシュした。
ちなみに、お弁当箱のおかずは力いっぱいギュウギュウ詰めにするのが我が家流なので、少々走ったくらいでは中身が飛び散ったりしない。