新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
河川敷公園のベンチで、数日前なら考えられなかった親子と一緒に、朝からおにぎりを食べている。
不思議な状況なんだけど、私は妙にワクワクしている。
「小石川先生とお知り合いになれてよかったです。すっごく賢くなったような気がします。私、文系はともかく、理系に関しては本当に知識がなくておバカなので」
正直な感想を言ったら、小石川先生は爽やかに大笑いした。
「どんどん賢くなってください。僕でよければ、いくらでも情報提供しますから。僕もまあ、自分の専門分野と走ることくらいしか知らないんですがね」
公介くんの食欲が気持ちいい。
おにぎり、多めに作っておいてよかった。
10歳くらい年下の大学生って、ほんと、少年を見てるような気分だ。
私もだいぶ老けたな、なんて勝手に思って勝手に落ち込んでみたりする。
小石川先生が、ふと思い出したように手を打った。
「あなたは明日、空いてませんか?」
「私ですか? 私はいつも家で原稿書いてるだけですから、時間の融通は利きますよ。締切、しばらく先ですし」
「だったら、もしご迷惑でないなら、公介とデートしてやってもらえませんか?」
「はい!?」
訊き返した私の声と、公介くんの英語っぽいリアクションが重なった。
小石川先生だけが平然としている。