新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
アメリカ在住の小児科医
「医者が元気じゃないと、話になりませんしね」
小児科医の小石川先生とお会いしたのは、本当に偶然だった。
朝のジョギングは、私の日課だ。
都心へのアクセスのいいベッドタウンでありながら、この町の雰囲気はけっこうのんびりしている。
河川敷は数キロにわたって公園になっていて、いつでも、散歩を楽しむ人や市民ランナーの姿が絶えない。
私が走るのも、河川敷の公園だ。
ダイエットが目的で、レースなんて出るつもりもないから、それはそれはゆっくりとしたペースで、3キロくらい走っている。
亜沙美のところに遊びに行く3日前のことだ。
睡眠不足を押して走り出した私は、1キロも行かないうちに、気分が悪くなってうずくまってしまった。
胃がぐるぐるして、めまいがする。
体が重くて、前に進めない。
「どうしました? 具合が悪いんですか?」
男の人が声を掛けてくれた。
ハッキリと聞き取りやすい、明るい響きの声。
人前でしゃべり慣れている感じで、声には張りがある。
「ちょっと、体調が……休めば、大丈夫です」
「どこか痛みますか?」
「いえ、吐き気と、軽いめまいがして……」
「立てますか?」
「は、はい」
「ベンチまで、ちょっとだけ歩きましょうか」
支えてもらって立ち上がって、すぐそばのベンチに腰を下ろした。
少ししたら、めまいが収まってきた。
短時間のうちに、ものすごく喉が渇いてしまったから、腰にくっつけておいたスポーツドリンクを口に含む。