新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
小石川先生は気さくに、ニューヨークで毎年マラソンに参加していることや、医療関係者でランナー仲間でもある日本人の後輩さんのこと、日本のコンビニおにぎりがとてもおいしいこと、奥さんも一緒に日本に帰国中だということなんかを話した。
よっぽど頭のいい人なんだろうけど、威圧的な感じは一切ない。
小石川先生は、目尻に鳥の足跡みたいなしわを刻んで、端正な顔をクシャッと笑わせた。
「よかったら、そのあたりのコンビニに、一緒におにぎりを買いに行きませんか?」
乗り掛かった船だし、ついでに栄養指導をしておこうということだろうか。
いずれにしても、私もジョギングの帰りにコンビニに寄って朝食を買おうと考えていたから、うちから最寄りの店に一緒に向かった。
「奥さまも今、こちらに滞在されているんですか?」
「いや、奥さんは息子を連れて、実家のほうに顔を出しに行ってるんです。僕だけ1人、置いてけぼりですよ」
だからコンビニのおにぎりとサラダです、と小石川先生は苦笑いした。
医者でスポーツマンという文武両道な超人も、料理はできないそうだ。
ご縁があればまたお会いしましょうと言って別れた。
縁があるらしく、見事に毎日お会いしている。
お互い、別にキッチリ同じ時間に走っているわけではないから、なかなかすごい確率だと思う。