新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―
直訳すると、マスは「集団」、スクリーニングは「検査」だ。
どんな病院での出産も、自宅分娩をする場合でも、赤ちゃん全員がその検査を受けられるシステムになっているらしい。
ちなみに、アメリカの場合は、通常分娩では産後2日で退院させられるため、新生児マス・スクリーニングは生後2日で実施されるそうだ。
2日で退院って、ずいぶんとスパルタな気がするんだけど。
「検査の、内容って、どんなものですか?」
「先天性代謝異常症を発見するための検査なんです。
つまり、代謝を助ける酵素の働きに生まれつき異常がある赤ちゃんを、できるだけ早く発見するための検査です。
代謝が異常というのは、例えば、飲んだミルクを何らかの原因で消化吸収できず、発作を起こして危険な状態におちいるような場合ですね」
代謝とか酵素とか、ダイエット系の本で見掛ける言葉だ。
代謝って、食べ物をエネルギーにして使う、みたいな意味でよかったっけ?
「酵素って、何でしたっけ?」
「そうですね、例えば、肉を食べるでしょう。肉はタンパク質です。タンパク質は体の中に入ると、分解されてアミノ酸になる。この分解をおこなうのが酵素です」