初恋に息を吹きこんで、
頭が悪いってすごい。
そんな失礼なことを考えながらも相手は田村だしいいかという考えが頭をよぎり、さらに失礼なことを思った。
私はクラスでなかなか成績がいい方だ。
他校、全国と視野を広げていけばたいしたことはないけど、学校としてはまぁ悪くない。
それは自覚済みなんだ。
そんな私が知らないことを、……〝好き〟という感情を、田村が知っているのにわからないなんて……。
正直に言おう、許せない。
傲慢だってわかっている。
わかっているけど、だからこそ、
「〝好き〟ってどんなもの?
〝恋〟って、なに?」
私は問いかけるんだ。
田村は私の様子、考えには気づかないでうーんと首をひねっている。
私の質問自体には疑問を抱いていないらしく、今はその単純さが好ましい。
「昨日のゼリー、俺ふたつだったんだよね」
答えを見つけたのか、話しはじめた彼の言葉にふむ、と頷く。
確かに昨日、給食制度のうちの学校で、田村はゼリーをふたつ食べていた。
欠席者がひとりいて、その余りをかけたじゃんけんをしていた。
そんな小学生の頃と変わらない男子の姿を私は遠目に見たんだ。
そのことはしっかりと覚えているけど、それがなにに繋がるのかな。