初恋に息を吹きこんで、
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背中の方から「やめろよー」とか「うわっ」とか、はしゃいだ声が聞こえる。
その声色に苛立ちながら、黙々と手を動かして、掃き掃除をする。
さっきなぜかちりとりがなかったことに気づいていても、この環境じゃ取りになんて行けない。
どうしようと考えつつも木目の模様をにらみつけて、素早くごみを集めた。
その時、こつんと紙で作ったボールが私の頭に当たり、その場に落ちた。
作ったのは、同じクラスの男子。
音楽室の掃除をするはずの今、それを投げて遊んでいたやつらだ。
出席番号順で振りわけられたメンバーには私以外の女子はいない。
なぜかここにはいない田村を筆頭に、ばかな男子が5人いるだけ。
正直なところ、役に立たないどころか邪魔なだけで、私の負担が大きすぎると思います、先生。
ゆっくりとボールを持ちあげた。
「やっべ」
「おい、なにやってんだよー」
笑う、声。
私に謝ることもなく盛り上がって、楽しそうで、……腹が立つ。
「あんたたち、さっきから私が黙っていれば調子に乗って……!」
私は、すたすたと足を進めた。
それは……ごみ箱の方へ。