初恋に息を吹きこんで、








背中の方から「やめろよー」とか「うわっ」とか、はしゃいだ声が聞こえる。

その声色に苛立ちながら、黙々と手を動かして、掃き掃除をする。



さっきなぜかちりとりがなかったことに気づいていても、この環境じゃ取りになんて行けない。

どうしようと考えつつも木目の模様をにらみつけて、素早くごみを集めた。



その時、こつんと紙で作ったボールが私の頭に当たり、その場に落ちた。



作ったのは、同じクラスの男子。

音楽室の掃除をするはずの今、それを投げて遊んでいたやつらだ。



出席番号順で振りわけられたメンバーには私以外の女子はいない。

なぜかここにはいない田村を筆頭に、ばかな男子が5人いるだけ。



正直なところ、役に立たないどころか邪魔なだけで、私の負担が大きすぎると思います、先生。



ゆっくりとボールを持ちあげた。



「やっべ」

「おい、なにやってんだよー」



笑う、声。

私に謝ることもなく盛り上がって、楽しそうで、……腹が立つ。



「あんたたち、さっきから私が黙っていれば調子に乗って……!」



私は、すたすたと足を進めた。

それは……ごみ箱の方へ。






< 14 / 24 >

この作品をシェア

pagetop