初恋に息を吹きこんで、
あっと短くあがる声を振り払い、手の中のボールを落とす。
「なに勝手に捨ててんだよ!」
「うるさい!」
ぴしゃりと言葉を叩きつければ、男子は口をつぐむ。
びくりと肩を揺らした四人に、順に視線をやった。
「遊んでないで掃除しなよ!
いつもさぼってばっかで、体力の無駄遣い!」
ばかなんじゃない⁈ と叫べば、みんなして不服そうな顔をして。
そしてさっきまで私の勢いに負けていた自分を恥じるように苦々しげに言葉を吐き出した。
「うざい」
悪意のこめられた言葉は、かんたんに私を貫く。
傷つく自分がいやで、きゅっと唇を噛み締めた。
「うざいはないだろ」
空間を震わせて、扉のところに立つ。
地球が回ると言うように、空が青いと言うように、月が満ちて欠けると言うように、当然のことと思わされる声色だった。
「田村……?」
ふいに現れた彼の手にはちりとりが握られていて、飄々と教室に入ってくる。
言葉選びからして、なんだからしくない。