初恋に息を吹きこんで、




うまくやれない自分が悔しくて、なにを言えばいいかわからない。

羞恥心から心が絞られるような想いで立ち尽くしていると、田村はなぁなぁと私の気持ちに気づかず話しかけてくる。



「さっきの俺、なんかイケメンじゃなかった⁈」



……やっぱり、ばかだ。



いやぁ、なんかすっげぇいいこと言ったなーってあとから思って! となんだか楽しそう。

その一言が余計だったんだけどね。



揺らいでいた心が静かになって言葉が唇から離れた。



「……顔がイケメンじゃないからなぁ」

「おい!」



そんなことをこぼしても、本気で怒ることはない。

そのことになんだか眉がさがる。



小さく笑えば、田村は心底嬉しそうな顔になった。

心臓が1度跳ねた。



田村はばかだけど、ただのばかじゃない。

私が勝手に色眼鏡で見ていただけ。



ありがとうって思うのに、素直にその想いを告げられない。

そんな私と田村は違うんだ。



なんて私は……つまらない。






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