初恋に息を吹きこんで、




男子っていうのはちょっと注意したら、うざい、うるさい、そんなことばかり。

じゃあ少しくらいするべきことしなよって話だ。



思い出しただけでイラつく男子の行動や発言が頭に浮かび、しかめた顔が元に戻らない。

そのままにらみ合い、もといへらへらと笑う田村をにらみつけつつ注意していると、



「戸部さんも田村くんも、リコーダーの練習しなさい」



先生にきっぱり告げられてしまった。



委員長としてしっかり仕事をこなしている私が叱られてしまうなんて。

それもこれも全部田村のせいだ。

余計なことしかしないし、なんで私がこんな目に。



唇を強く噛み締めて、先生に聞こえないように小さい声で吐き出す。



「あんたみたいなのは小毬には似合わない。
手出しなんてさせないんだから!」



絶対に小毬に余計なことなんてさせない。

そう心に決めてから、田村が小毬を好きになってから、もうすぐ半年。

これからもずっとそのつもり。



ふんっと顔をそらし、私はリコーダーに勢いよく息を吹きこんだ。






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