その先の光
私は半端呆れながら言うと
いすに座った伊月は私をジッと見てきた。
「な、なんです?」
「お前…顔色悪いぞ」
「・・・は?」
なんでこんな奴にそんなこと言われないといけない。
気づくはずない…誰も…
私に気づく事なんてない!
「帰って…仕事の邪魔だから」
無理矢理外に出そうとしたとき、
あいつは小声で言った。
『倒れるぞ』
そんなのあるわけないでしょ?
私はこれでも医者なんだから…
自分の身体のことは一番分かってる…
倒れるなんてある訳ない…
ー 半月後 ー
あいつからのイラつくアドバイスを
受けてからも、皐月さん宅からは
弁当が届けられる。
それを懲りずに全部食べきる私って
馬鹿なのかもしれない。
「気持ち悪い…」
これからまだまだ仕事だっていうのに
何やってんだろ…
頭痛いし…目眩してきた…
よく視界が見えない…
ガラガラガラ
あ、誰か来た。早く行かないと…
あれ?私は身体に力がはいらず、
目の前が真っ暗になった。
ー side紫苑 end ー