その先の光
ー 診療所 ー
少し、不信がられたが、
何とかごまかし、
今度は、町長さんの田口さんと
その息子さんの、皐月さんに診療所まで
案内してもらった。
「ここが、診療所や」
「へぇ、案外綺麗ですね?」
「まぁ、前の先生が綺麗好きやったからな」
そうか、私の前にも女の先生が
いたけど、数日前に亡くなったって…
私に務まるだろうか…こんな、
私なんかに…誰かを笑顔に…
「大丈夫か?先生」
「へ?あ、はい!大丈夫です!」
「そうか?なら、今度は中を案内しようか?」
「はい!」
ここの人たちは確かに優しそうだ…
けど、私はそんな人たちから
何度も裏切られてきたんだ。
あいつらと同類かもしれない…
気をつけないと…
「先生?どうかしたんか?」
「なんでもないですよ?あ、ここですか。
宿舎って」
「あぁ、この前ようやく
なおしてもろうてなぁ……うわぁ!」
宿舎の中に入っていった皐月さんは
畳から落ちてしまった。
というより、畳が丈夫にはでにていなかったほうが正しいかな?