闇に咲く華
マンションを出ると、舗装された道に眩しい朝日が降り注いでいた。
同じ道のりで、同じ方向へ行く相手と、別々に行くというのは難しい。
かといって、待ち合わせたわけでも、仲の良い相手でもない。
「お母さんが再婚して……で、ここに」
無視しておけば……とは思っても、それはそれで変に気まずく、仕方なくなにか話した方がいいのかと思い、私なりに気を使って口にした言葉だった。
それなのに、返事がない。
少し離れて歩く白玖を見ると、返事をしないわりに私を見ているから、もしかして、話題が悪かったのかと思う。
「あ、再婚って言っても、別にそんなんじゃないし」
「そんなんじゃねえって?」
「えっと、付き合ってるのは前から知ってたし。松井さん……あ、新しくお父さんになった人ね。その人もいい人だし、別に暗い話しじゃないっていうか……」
「ふーん」
「で、松井さん……じゃなくて、お父さん……が、結婚して私たちと一緒に住むために、あのマンション買ってくれて。それで、引っ越してきたの」
私にとってこのタイミングでの母親の再婚は、とてもありがたかった。
名前も変わることが出来たし、なにより引っ越しも出来て学校も変われたから。