闇に咲く華


「なあ、思うんだけどよ。雨降ったらどうすんだ?」


カレンダーが6月に入り梅雨が近くなる頃、教室でふと大牙がそんなことを聞いてくる。


「知らない」


「相変わらず、冷てえな。つーか、雨だとどこで飯食うんだよ。屋上って、屋根ねえよな」


そもそも、私はひとりになりたくて校舎の屋上でお昼を食べていたのに、いつのまにか、不良3人組まで屋上に来るようになっていた。


「雨でびしょ濡れのパンとか、俺食えねえぞ」


そんなの大牙に限らず、誰だって食べられないし。


びしょ濡れのパンを想像してしまい、気持ち悪くなった。


だいたい、どうしてこんなことになっているわけ?


もともとは私に付きまとう大牙が、お昼に付いて来たことから始まった。


後のふたりは、屋上が開放されていることを今まで知らなかったらしく、この場所いいな、ってなノリでくるようになっただけ。


だから厳密に言えば、一緒に屋上でお昼を食べているわけじゃない。


大牙が私に勝手に付いて来て、白玖と壱は私とは関係なく気に入った屋上でお昼を食べている……てことなんだけど。


だけど向かう先が同じだと、教室を出るタイミングも、屋上までの道のりも同じになる。

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