闇に咲く華
いや、大牙のせいだけでもない。
マンションが同じ白玖とは、毎日のように一緒に学校に来ているわけだし。
これで壱とだけ話さないとか、逆に無理がある。
「まあな」
「弁当とか憧れるよなぁ」
そんなことを大牙が言う。
「お弁当って憧れるものなの?」
「いや、いいぞ、それは遠慮しとく。姫乃に作ってもらうとか、んな贅沢俺は……」
「作るとか言ってないし」
とにかく適当でチャラい大牙は、いつも誰にでもこんな調子だったりする。
私、なにやってんだろ。
誰とも親しくなるつもりはなかったのに……。
そうは思っても、これはこれでいいんじゃないかとも思うようになっていた。
チャラいし、鬱陶しいけど、時々面白い大牙は、誰よりも話しやすいし。
笑顔を見せることがあまりないから、愛想がよくないようにも見える壱は、なんだかんだで常識人だし。
席も隣で、家まで近所の白玖は、ゾッとするほどキレイな顔をしているわりに、自意識過剰なところがなく、意外と穏やかな性格だし。
そんな3人だからか、仲良くしたくないという理由も見当たらない。