空の下の笑顔の樹
みんなの駄菓子屋さんに通い続けるためには、どうしてもお金が必要だ。お母さんがお化粧をしている間に、真奈美とこっそり話し合い、お小遣い稼ぎ大作戦を立てた。日頃からよくトイレ掃除をしている真奈美が隊長。晩ご飯の支度以外のお手伝いは、ほんのたまにしかしないあたしが副隊長。
「ねえねえ、お母さん。何かお手伝いすることはない?」
寝室でお化粧中のお母さんに、さりげなくお手伝いの催促をした真奈美隊長。さすが百戦錬磨の隊長だ。
「どんなことでも手伝うからさ。何でも遠慮なく言ってみて」
真奈美隊長の後に続いて、お化粧中のお母さんに、お手伝いの催促をした美咲副隊長。ちょっと押しが弱かったか。
「真奈美も美咲も、自ら言い出すなんて珍しいわね。もしかして、お小遣い稼ぎ? 美咲は昨日、お父さんから千円も貰ったでしょ」
真奈美隊長と美咲副隊長のお小遣い稼ぎ大作戦を、いとも簡単に見破ったお母さん。なかなかの強敵だ。
「真奈美に五百円あげて、残りの五百円は、みんなの駄菓子屋さんで使っちゃったもん」
「みんなの駄菓子屋さんに行くのは構わないけど、美咲も真奈美も、お小遣いは大切に使うようにしなさいね」
「大切に使うようにするからさ。早くお手伝いさせてよ」
「美咲がそこまで言うなら、頼まないわけにはいかないわね。それじゃあ、今日は、お風呂場と洗面所のお掃除をお願いするわね。今までは一回につき、百円をあげてきたけど、今日からは、五十円よ」
「ええー。半分に下げちゃうの?」
お母さんの話を聞いて、驚愕の表情を浮かべている真奈美隊長。その気持ちは痛いほどよくわかる。
「うちはそんなに裕福な家庭じゃないんだからね。五十円でも貰えるだけ有り難いと思いなさい」
「わかった。一回につき、五十円だね」
ここであたしが文句を言ってしまったら、お小遣い稼ぎ大作戦が水の泡になってしまうので、お母さんの言うことを受け入れた。真奈美隊長はまだふてくされた様子で、ぶつぶつ文句を言っている。
「ダンス教室に行ってくるから、お留守番をお願いね」
「いってらっしゃい。おもいっきり楽しんできてね」
お母さんがダンス教室に行った後、真奈美隊長と力を合わせて、お風呂場と洗面所をピカピカになるまで磨き上げてみた。
「ふう。ちょっと疲れたけど、綺麗になると気持ち良いね」
「うん! すごく気持ち良い!」
お風呂場と洗面所を綺麗に掃除したことで、気分が晴れたのか、真奈美隊長が清々しい笑顔を浮かべている。
「この調子で、また明日からも頑張っていこうか」
「うん! もっとお小遣いを稼ぐために! がんばってお手伝いしていく!」
元気な声で言ってくれた真奈美隊長のお駄賃と美咲副隊長のお駄賃を合わせれば、百円になる。みんなの駄菓子屋さんに通い続けるため、観光バスの台数を増やすため、お母さんの負担を少しでも減らすため、一日に一回は必ず家事を手伝うことに決めた。
「ねえねえ、お母さん。何かお手伝いすることはない?」
寝室でお化粧中のお母さんに、さりげなくお手伝いの催促をした真奈美隊長。さすが百戦錬磨の隊長だ。
「どんなことでも手伝うからさ。何でも遠慮なく言ってみて」
真奈美隊長の後に続いて、お化粧中のお母さんに、お手伝いの催促をした美咲副隊長。ちょっと押しが弱かったか。
「真奈美も美咲も、自ら言い出すなんて珍しいわね。もしかして、お小遣い稼ぎ? 美咲は昨日、お父さんから千円も貰ったでしょ」
真奈美隊長と美咲副隊長のお小遣い稼ぎ大作戦を、いとも簡単に見破ったお母さん。なかなかの強敵だ。
「真奈美に五百円あげて、残りの五百円は、みんなの駄菓子屋さんで使っちゃったもん」
「みんなの駄菓子屋さんに行くのは構わないけど、美咲も真奈美も、お小遣いは大切に使うようにしなさいね」
「大切に使うようにするからさ。早くお手伝いさせてよ」
「美咲がそこまで言うなら、頼まないわけにはいかないわね。それじゃあ、今日は、お風呂場と洗面所のお掃除をお願いするわね。今までは一回につき、百円をあげてきたけど、今日からは、五十円よ」
「ええー。半分に下げちゃうの?」
お母さんの話を聞いて、驚愕の表情を浮かべている真奈美隊長。その気持ちは痛いほどよくわかる。
「うちはそんなに裕福な家庭じゃないんだからね。五十円でも貰えるだけ有り難いと思いなさい」
「わかった。一回につき、五十円だね」
ここであたしが文句を言ってしまったら、お小遣い稼ぎ大作戦が水の泡になってしまうので、お母さんの言うことを受け入れた。真奈美隊長はまだふてくされた様子で、ぶつぶつ文句を言っている。
「ダンス教室に行ってくるから、お留守番をお願いね」
「いってらっしゃい。おもいっきり楽しんできてね」
お母さんがダンス教室に行った後、真奈美隊長と力を合わせて、お風呂場と洗面所をピカピカになるまで磨き上げてみた。
「ふう。ちょっと疲れたけど、綺麗になると気持ち良いね」
「うん! すごく気持ち良い!」
お風呂場と洗面所を綺麗に掃除したことで、気分が晴れたのか、真奈美隊長が清々しい笑顔を浮かべている。
「この調子で、また明日からも頑張っていこうか」
「うん! もっとお小遣いを稼ぐために! がんばってお手伝いしていく!」
元気な声で言ってくれた真奈美隊長のお駄賃と美咲副隊長のお駄賃を合わせれば、百円になる。みんなの駄菓子屋さんに通い続けるため、観光バスの台数を増やすため、お母さんの負担を少しでも減らすため、一日に一回は必ず家事を手伝うことに決めた。