初恋は鉄の味
バージン
「聖一さん、上脱いでベッドに寝て?」
照明をどうしたらロマンチックになるとか、シャワーはどう浴びたら色っぽいとか、ラブホテルならではの楽しみ方をレクチャーする聖一を阻止してみくは言う。
「じゃあ、カラオケもDVDも、照明もお風呂もなくて、ベッドだけだったらどうしたら楽しめる?」
それは…と口頭で説明しようとする聖一にみくが、やって見せてくれなきゃわからないと間髪入れず遮る。
みくは自らベッドに身を投げて聖一を待った。
仕方ないというように聖一は隣に寝そべる。
「みくちゃんはどんな人が好き?それによってだいぶ楽しみ方は変わると思うけど。」
まずね、年上の人、私を包んでくれるくらい大きい人、身体も心も。
それから優しくて、笑顔が素敵で、強くて、スーツの似合う人。
みくちゃんはあんまり記憶が残ってないお父さんの影を追って、まるで代わりを探してるみたいだね、コンプレックスみたいなものかな、よく聞くけどと聖一は穏やかに答えた。
みくはあからさまに目の色を変えて口を尖らせたかと思うと、そのまま聖一の唇に迫った。
「違う!私を子ども扱いしないでよ!お母さんなんかより、ずっと聖一さんのことが好きだもん!今日の服だって……まだ物足りない?」
聖一はみくに多いかぶさるように体制を変えて、こんなことが許されるのかなと眉を下げながら小さく笑い、それからみくに口づけた。
「物足りなくないけど、ただ胸元を開けてればいいと思ってたらまだまだだな。」
と言いながらみくの耳元でもう容赦しないけどいい?と聖一。
みくは抑えきれない緊張の鼓動と喜びの間で、瞳を潤ませながら強く頷いた。
聖一がみくの服を脱がせ、自分の服を脱ぐその様は慣れているという他なくて、みくはその全ての仕草が大人だというだけで高揚した。
聖一はそれを見て取り、一人の女性というよりは娘とも言える少女のバージンを奪えることに理性とは裏腹の興奮を覚えていた。