未来の為に(仮定)
「こ、来ないで…」
恐怖に震える声が聞こえてきた。
この声はミーナさんの声だ。

あの怪物…赤人(セキジン)はミーナさんとアンナさんに狙いを定めていた。
時間は分からないが、俺が死んだ後すぐと言ったところか…

俺は倒れて死んでいた場所に立っていた。
相変わらず街灯がパチパチパチと点いたり消えたりをしていた。
…生き返ったんだな…と実感した。

「スーー」
ゆっくり息を吸う…そして俺はありったけの大声を放つ


「2人から離れろ!!!」


流石の怪物もビックリしてこちらを向く。


「クチア君!?」
ミーナさんとアンナさんの声が同時に聞こえる。


さぁ…力を解放するぞ!
力の使い方は何故か分かる…前から使ってたみたいに体が覚えてる…みたいなそんな不思議な感じだが…確かに使い方は分かる!

奴を…赤人を倒す!
そして…2人を守る!


俺の右腕が黄金に輝く…

「これがお前を消し去る力だ!」

そして腕から真っ直ぐに1m程の長さの光が生える…これは剣だ!光の剣!


「うおおおおおおおおおお」

俺は赤人に向かって真っ直ぐ走る。
そして赤人に光の剣を振るう!



ズバッ!!!


「ぎぃや!?」
変な声をあげ赤人は俺の前で半分に切れる。
そしてそのまま黒い霧みたいになりその場から消えた。


「ふぅ…」
と、気を緩めた時だった


「クチア君後ろ!」
アンナさんの声が響いた。

その声を聞いて咄嗟に後ろに振り向く。


「なっーー」
後ろを振り向くと赤人が鋭い爪で俺に攻撃しようとしていた。


キーーン
その攻撃を剣で振りほどく。


「もう1体いたのか…だけど!」

警戒の為後ろに下がった赤人にここぞとばかりに近づきーーー

右腕を振り上げる


「オラァァ!!」


ズバッッ!!
そして一気に右腕を振り下ろし2体目の赤人も真っ二つにした。
1体目と同じく赤人は黒い霧みたいになりその場から消えた。

まさかもう1体いたとは…そう思い辺りに注意する。
だが、もう何かが居る気配はない。


ピキン…パーン
力を抜いた瞬間、右腕から生えた光の剣にヒビが入り粉々に砕けた。


「もう大丈夫でーー」
すよ…と繋げようとした瞬間、誰かに抱きつかれる

「クチア君!」
…ミーナさんだった。
ミーナさんが泣きながら俺に抱きついてきたのだ。

「クチア君死んだと思って…私…凄く怖くて…」
ミーナさんの抱きしめる力が強まる

「ちょ、い、痛いですよミーナさん」

「クチア君生きてるのね!?生きてるんだよね!?」


自分を抱きしめる腕が震えてる事に気付く
だから俺は優しくミーナさんを抱きしめた


「俺は生きてますよ」


「それにしても君が生きていて本当に良かったよ」
アンナさんの声が聞こえてきた。


「アンナさん…それにミーナさんも怪我は無いですか?」

「あぁ…私達は大丈夫だよ。君が助けてくれたからな」

「クチア君本当にありがとう!」

「2人が無事なら良かったです」


その時、おれは異変に気付いた。
ミーナさんは俺に抱きついてるから気づいてないが…

「アンナさん…」

「あぁ…私も気付いたよ」


先程確かにパチパチパチと点いたり消えたりを繰り返していた街灯が今はちゃんと灯りをともしている。

だが、一番の異変は…


「5人の死体が消えてるな…」
アンナさんの言う通り俺達が最初に見た5人の死体が消えていた。

更に死体だけじゃなく血も綺麗に消えていた。



「これは…君の力に関係あるのかな?クチア君」

アンナさんの言う俺の力とは先程の光の剣の事だろう。
だが、アレは敵を滅する力であり、死体を消す力ではない。


「いえ…俺にも分かりません」

「とりあえず死体が無いんじゃ警察に連絡する訳にもいかないしな…」


「そーですね…」

その時だった。
俺は急な疲労に襲われる。

「ミーナさん…離れてください…」
そう言いミーナさんを自分から離す。


そして俺は…


ドザァァ….
地面に倒れ落ちた。


「クチア君!クチア君!?」
ミーナさんとアンナさんの声が聞こえる….でももう…ダメだ…眠い……


それからの記憶は無い。



意識を取り戻した時はベッドの上に寝ていた。


あれ?ここどこだ?それにこの天井……








「知らない天井だ…」
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