LALALA
「うわぁ…!これ、すごく素敵!」
夏子が手に取ったのは、チェコビーズをフープに通した新作のピアスだった。
「今日季里がつけてるのもいいね、すみれ色のタッセル。とっても涼しげだし綺麗な色合いだね」
「ありがとう。これね、今エメラルドのビーズと合わせて、白い刺繍糸でも作ってるんだ」
「えー、見たい見たい!」
「出来たら持ってくるね」
「うん、楽しみにしてるね!タッセルいいね、私すっごく好き!売れ筋になりそう!」
声を弾ませながらアンティークの鏡の前に立った夏子は、私が今日持ち込んだ商品を一点一点自分の耳たぶ辺りに近寄せて、あらゆる角度から見映えを確認している。
朝イチで私がやって来たのは、大学時代の同級生、奥田夏子がオーナーをしている雑貨店。
私はここに、ハンドメイドのアクセサリーを置いてもらっている。
自分で言うのもなんだけど、様々な年齢層の女性客に結構人気があって、新作を持ち込むと必ずソールドアウトになる。
ネット販売もしてるんだけど、こうして趣味のいい輸入雑貨に囲まれてディスプレイされていると、吟味して買った材料で夜なべして作った私のピアスが、何倍もお洒落にゴージャスに見えてくるので不思議だ。
ゴールドのビジューは西洋の貴婦人が舞踏会で身に付けていた本物の宝石のように、ターコイズブルーのビーズは南国の透き通る海を閉じ込めたように涼しげに、格上げされて。
直接お客様に見て触れてもらえるのは、夏子のご厚意のお陰なので本当に感謝している。
「私、これ買おうかな~」と呟いた夏子が、くるんと回れ右をして私に向き合った。