金曜日、21時9分発のバスで
事の始まりは去年の春。私が大学に入った直後のことだった。
一年間の浪人生活を終え、自分の志望の大学に入った私。
入学してからのあれこれ疲れ果てて、いつも乗るピアノのレッスン帰りのバスで、眠ってしまった。
眠ってしまったのだから、降りるはずの停留所を過ぎてしまうはずだったのだけれど…
『すみません、次の停留所で降りるんじゃありませんか?』
そのバスでたまに見かける男の人が、声をかけて私を起こしてくれたのだ。
確かに次の停留所は私の降りる場所で、半分寝ぼけたまま私はそのバスを降りた。
お礼を言ったかどうかも覚えていなかったので、次にまた会うことがあったら…なんてのんきなことを考えていたのだったが、
次の週から。
『こんばんは、また会いましたね!』
金曜日の21時9分発のバス。そこに彼は姿を見せるようになった。
一年間の浪人生活を終え、自分の志望の大学に入った私。
入学してからのあれこれ疲れ果てて、いつも乗るピアノのレッスン帰りのバスで、眠ってしまった。
眠ってしまったのだから、降りるはずの停留所を過ぎてしまうはずだったのだけれど…
『すみません、次の停留所で降りるんじゃありませんか?』
そのバスでたまに見かける男の人が、声をかけて私を起こしてくれたのだ。
確かに次の停留所は私の降りる場所で、半分寝ぼけたまま私はそのバスを降りた。
お礼を言ったかどうかも覚えていなかったので、次にまた会うことがあったら…なんてのんきなことを考えていたのだったが、
次の週から。
『こんばんは、また会いましたね!』
金曜日の21時9分発のバス。そこに彼は姿を見せるようになった。