金曜日、21時9分発のバスで
「…で。」


あっという間に二日が経って、今日は月曜日。


また一週間が始まったんだなぁなどというのんきなことを考えていると、講義室に座る私に声がかけられた。


「月曜日からそんなに機嫌がいいってことは、今週も会えたのね」


「うん、楽しかった…」


「…いい加減、デートの一つでも誘えばいいのにね」


彼女は美咲(みさき)。大学に入って以来の親友で、引っ込み思案な私とも仲良くしてくれるいい人。…少し恋愛脳なことを除けば。


彼女には悠馬さんの存在を話しており、私の好きな人であることも告げている。


いつもいつも恋愛脳でも困るけど、こういうことの相談相手としては、美咲はとてもいいアドバイザーである。



「いやいやいや…デートのお誘いなんて無理だよ」


「小春じゃなくてね?相手の男のこと!そんな甲斐性のないやつと付き合っても損しかしないよ?」


「そんなことないよ、そもそも付き合うとか考えたことないし…美咲はいつも話がおおげさなんだよ」


「そんな悠長なことこと言ってたらお婆ちゃんになっちゃうわ………!時間は有限なんだよ、小春!!」



前言撤回。


私の相談の範疇を飛び越えて恋愛に口出ししてくるような親友は、「恋愛相談の相手」には向いていない。



ため息をつきながら反論を返せば、面白くなさそうに眉尻を下げる美咲。


しかしその数秒後には、美咲はまたニヤリと笑っていた。
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