ハッシュハッシュ・イレイザー
「どんどんといじめが大きくなってきたのが目についたから、全てを自分のせいにされるのはいやだわ」

「何、それ、結局は責任回避じゃない。あなたが謝って自分だけがせいせいするだけじゃない。それで許されると思うの? 馬鹿にしないで」

 紫絵里は瑠依を押しのけた。

 その時、瑠依はバランスを崩しヨタついて机にぶつかり、その拍子に床が派手に擦れた音がした。

 ぱらぱらとクラスに残っていた生徒がその様子を遠くから見ていた。

 真理もその中の一人だったので、急いで紫絵里の許へ駆けつけた。

 位置がずれてしまった机を直している瑠依を尻目に、紫絵里は教室を出ていく。

 真理もついていこうとしたが、瑠依の目に溜まった涙を見ると足が止まった。

「柳井さん……」

 小さく声を掛けると、瑠依は真理の方向を見てハッとし、慌てて目を擦った。

 真理は見なかったことにして、紫絵里を追いかけドアから出て行った。

 瑠依は、教室の出入り口をぼーっとして眺めていた。
< 110 / 185 >

この作品をシェア

pagetop