ハッシュハッシュ・イレイザー
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「紫絵里も頑固ね」

 ベッドから身を起こしていたマリアは、真理の報告を聞き終わると、くすっと笑いを漏らした。

「笑い話じゃないわ」

「でも、滑稽には変わりない。いじめを自ら仕掛けた首謀者が、今更怖気ついて謝れば、それを容赦なく一蹴りして益々意固地になる。ここでお互いの妥協を見つけていたら、丸く収まるのに、却ってこじれてしまったわ」

「柳井さんもなぜ急に怖気ついたのかしら」

「きっと、裏で色々な憶測が飛び交ったのよ」

「憶測?」

「そう、人の本心が見える場所で、人々の餌食になるように色々と好き放題に言われたのよ。そこでは自分の翻意と関係なく言葉が交わされ、攻撃は瑠依にも降りかかったのかも。瑠依はそこで人に悪口を言われる辛さがわかって反省したのね」

「だけど紫絵里は許さなかった」

「いじめた相手が強かったのね。そこに恋という気持ちがあるからかもしれないけど」

「これから二人はどうなるんだろう」

「大丈夫よ。きっといいように落ち着くわ」

 マリアは軽々しく言った事に、真理は違和感を抱いた。そんな簡単に事が運びそうにはどうしても見えなかった。

「そうだといいけど……」
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